完治する事は無いと言われる緑内障治療は進行を止めるのが目的です
眼病の中で、とても厄介なのが緑内障で、視野が徐々に欠けて行く病気です。以前は当たり前に見えていた範囲が見えなくなる。これは日常生活を送るうえで、非常に不便に感じる事になります。目の前に人が現れるまで気づかないと、ぶつかってしまうかもしれませんし、目の前に階段があるのに気づかなければ、落下の危険性も有るわけです。目に頼る生活を送ってきた人にとっては、一時も早く治したい病気です。
眼は房水の圧力により、その形を維持しています。房水は毛様体で産生され、目の中を循環し、線維柱帯を通り、シュレム管から静脈へ排出されています。その産生と排出のバランスで圧力(眼圧)をかけているのですが、何らかの理由で排出量が減少して、このバランスが崩れると眼圧が上昇し、視神経乳頭が圧迫され、視神経に障害が発生してしまいます。視神経は見た物を信号に変え脳へ伝達する役目の担っています。その視神経が傷害を受けると、その部分の信号が脳へ届けられません。その障害を受けた箇所が視野の欠損となり、脳に映し出されます。この状態が緑内障です。
眼圧の正常値は10mmHg~20mmHgと言われていますが、この正常値の範囲内でも、視神経乳頭の圧力に対する耐性には個人差が有り、視神経に障害が発生する事が有ります。こらが正常眼圧緑内障で日本人に最も多い緑内障です。このような病気ですから、治療は眼圧を下げる事を目的に行われ、房水の産生を抑制したり、排出を促すなどして、視神経を圧迫しないようにします。
この治療方法を見ても分かるように、これ以上視神経を圧迫して症状が進行しない様にする治療になっています。では視野が回復して元通り見えるように完治する事は無いのでしょうか?残念ながら視神経などの中枢神経は、一度障害を受けると元に戻る事は無いと言われています。その為、緑内障の治療は、病気の進行を止めて、現状の見える状態を維持する事を目的に行われています。進行すると失明の危険が有るからです。緑内障は早期発見が一番の治療法だと言われる所以です。
以下、補足情報ですが、視神経などの末梢神経の再生を目的とした研究が、横浜の大学病院で行われています。そこではシュワン細胞という神経線維を伸ばす手助けをする細胞が、視神経の再生に利用できるかを研究しています。骨髄細胞を少し取り、シュワン細胞に変化させて移植すると、視神経は再生してどんどん伸びて、脳に到達すると言うもので、ラットでの実験では成功してるそうです。これが実用化されると、画期的な治療になると期待されています。

